愛知県春日井市で6年間カーリース店を経営し、現在は一宮からおよそ20km圏の29市町村を自ら回りながら、地元の店舗や事業所へAI導入の伴走支援を行っています。日々、様々な業種の経営者様とお会いする中で、今回は特に愛知県稲沢市でカフェを営む皆様に向けて、この記事を書いています。
稲沢市には、雇用者のいない個人経営を除いても4,133の事業所が存在します(出典名: 総務省統計局「令和6年経済センサス‐基礎調査」確報)。その中には、地域の人々に愛され、美味しいコーヒーや手作りのスイーツを提供している魅力的なカフェが数多くあります。
しかし、カフェの毎日は想像以上に多忙です。朝の仕込みから始まり、接客、調理、片付け、そして営業後の仕入れ管理やSNSでの発信、スタッフのシフト調整など、常に動き回っていらっしゃるのではないでしょうか。「新しい技術を調べる時間など、どこにもない」というのが本音かもしれません。
カフェにおけるAI導入とは
カフェにおけるAI導入とは、高額なロボットや複雑なシステムを店舗に組み込むことではなく、日々のメニュー開発やSNSの発信文作り、仕入れの計算といった「言葉と数字の作業」を、頼れるアシスタントに分担することです。
例えば、以下のような具体的な作業を指します。
- 季節限定の「いちごのタルト」を紹介するInstagramの投稿文を、写真の雰囲気に合わせて3パターン書き出してもらう。
- Googleマップに寄せられた温かいクチコミに対して、丁寧で心のこもった返信文のたたき台を作ってもらう。
- 毎月のスタッフの希望シフトをルールに沿って整理し、組み合わせの土台を作ってもらう。
これらはすべて、特別な機械を導入しなくても、手元のスマートフォンやパソコンからすぐに始められる作業です。
しかし、世の中の導入状況を見ると、まだ足踏みをしている店舗が多いのが現状です。中小企業基盤整備機構が公表した「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月・有効回答1,668社)によると、中小企業のAI導入率は20.4%(全社的3.6%+一部業務16.8%)にとどまり、「導入予定はない」と答えた企業が61.0%に達しています。
さらに、同調査で導入に踏み切れない理由として「現状で満足しており必要性を感じない」と答えた割合は、導入予定なし層で27.7%、検討中層で4.0%となっています。日々の営業がなんとか回っているからこそ、あえて新しいものを取り入れる理由が見当たらないというのも、経営者として極めて自然な判断です。
また、総務省の「令和7年版 情報通信白書」(図表I-1-2-15・日本 n=515)によると、「効果的な活用方法がわからない」と答えた割合は、米国が9.7%であるのに対し、日本は30.1%にのぼります。道具の存在は知っていても、自分の店のどの作業にどう使えばいいのか、その道筋が見えないことが最大の障壁になっています。
初回の店舗訪問では、道具の話をする前に、実際の業務フローを見せてもらう。そのうえで、何をAIに任せられるかを一緒に選ぶ。順番を逆にすると、入れたのに使われないまま止まる。
(公式HP「来店伴走の流れ」より)
便利な道具を目の前にすると、どうしても「これで何ができるか」を先に考えてしまいがちです。しかし、本当に大切なのは、道具を調べることではなく、自分のお店の「今の動き」をありのままに見つめることです。
お店の業種を私が覚えるのではありません。効く勘所だけを抜き出して、積み上げていきます。「教えてください」とは言わない。あなたの現場知識と、私のAI。掛け合わせて、あなたの店だけの仕組みをつくります。
(代表 佐藤の考え)
あなたが毎日、厨房やカウンターで積み重ねてきた経験や、常連のお客様の好みを知っている知識。それこそが、お店にとって最も価値のある資産です。そこにAIという道具を正しく組み合わせることで、これまで頭を悩ませていた事務作業の時間が、お客様と向き合う時間や、新しいメニューを試作する時間へと変わっていきます。
では、稲沢市のカフェ経営者の皆様が、今日この記事を読んだあとにできる「最初の1歩」とは何でしょうか。
それは、スマートフォンで新しいアプリをダウンロードすることではありません。 今日の営業が終わった後、あるいは明日の仕込みの前に、ノートとペンを1本用意してください。そして、次の問いに対する答えを1つだけ書き出してみてください。
「今週の業務の中で、自分が一番『面倒だな』『時間がかかっているな』と感じた作業は何か」
例えば、以下のようなことです。
- 「毎週の週替わりランチの献立を考えるのに、金曜日の夜に1時間机に向かっている」
- 「仕入れ伝票の数字をノートからエクセルに転記する作業が、地味にストレスになっている」
- 「インスタグラムの文章を考えるとき、いつも同じような言葉遣いになってしまい、30分以上悩んでいる」
まずは、この「書き出し」を1つ行うだけで十分です。どの道具を使うかは、その後に決める順番になります。
稲沢市の4,133の事業所(出典名: 総務省統計局「令和6年経済センサス‐基礎調査」確報・雇用者のいない個人経営の事業所を除く)の一翼を担う皆様のカフェが、これからも地域に美味しい時間を提供し続けられるように。まずは今日、ノートに1行、あなたの小さなお困りごとを書き出すことから始めてみませんか。
出典
本文中の数字は、次の公的統計にもとづいています。
- 総務省統計局「令和6年経済センサス‐基礎調査」確報(雇用者のいない個人経営の事業所を除く)
www.stat.go.jp で見る - 中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」2026年3月(有効回答1,668社)
www.smrj.go.jp の報告書(PDF) - 総務省「令和7年版 情報通信白書」図表I-1-2-15(日本 n=515)
www.soumu.go.jp で見る